「歯ごたえ」のお話 ☆麺類のこしってどう、お口でどう感じてる?
2021/04/24
うどんやそばなど、麺類のおいしさは麺の「こし」にあるといわれています。では、私たちはどうやってそれを感じているのでしょうか。
食べ物の味を区別するのは「味覚」という感覚ですが、歯ざわりというのも大切な感覚の1つになります。「歯ざわり」とか「歯ごたえ」という感覚は、歯の感覚と咬むための筋肉(咀嚼筋)の2つの感覚から成り立っていると考えられています。
歯の感覚とは、むし歯で痛く感じる感覚とはまた別のものです。歯の感覚は、歯の表面で感じるのではなく、歯の根の周りをおおっている歯根膜の圧力を感じるセンサーで感じます。
また、咬むための筋肉(咀嚼筋)の感覚とは、顎を動かす筋肉の中にあるセンサー(筋紡錘)が感じる感覚のことです。筋肉の感覚はたいへん敏感であります。例えば階段を上っていて、高さの不ぞろいなところも、目ではわかりにくいわずかな段差でも、すぐに歩く感じでわかりますよね。それは足の筋肉の感覚が働いたからです。
うどんが歯に当たったことは、歯根膜のセンサーが知覚し、咀嚼筋にかかる力を、筋肉のセンサーで知覚します。それらの情報を大脳のコンピューターで総合的に判断して、うどんの「こし」がわかると考えられています。
歯がなくなった人の場合は、入れ歯を支える歯肉のセンサーが、歯根膜のセンサーの代わりをすると考えられていますが、やっぱり自分の歯の感度よりは、そうとう悪くなります。食べ物のおいしさは、やはり歯が健康でなければわかりにくいので、一生予防をしていって、おいしいものを食べていきましょう。そのお手伝いをさせていただきたいのが、私の思いであります。