お口の細菌は体の中で最も高密度!! ~バイオフィルムって~
2023/01/26
消化管は口から始まり食道、胃を介して大腸、肛門で終わります。驚くべきことに、消化管の入り口と出口、すなわちお口と大腸の中の細菌の密度は同じと言われています。お口の歯垢(プラーク)と大腸には最大で1g中に10の11乗個の細菌が存在しています。鼻水のなかの細菌数は10の5乗個であり、比べてみても、お口の中の細菌は桁違いに多いことがわかるかと思います。
これらの細菌は共同体(細菌叢、フローラ)を構成しており、通常はバランスをとって生息しています。腸管などの消化器や肺などの呼吸器には、体の中を調整する免疫組織があり、うまく細菌を制御できますが、お口の中にはこのような制御を行うものは唾液だけしかありません。また、お口の中の細菌は抗菌剤や洗口剤に抵抗するバイオフィルムという鎧を持っています。
◆バイオフィルム
細菌が産生する接着剤のような物質により、歯や粘膜の組織の表面に付着した集合体をバイオフィルムといいます。生活環境では流しやお風呂のぬめりなど、水のあるところには多くの場合、バイオフィルムがみられます。バイオフィルム内部の細菌は普段はあまり活発に活動しておらず、単独でいる場合と比べて性質が異なります。また細菌は、バイオフィルムを形成することで外部環境の変化に対応する抵抗力を獲得して生育します。
歯周病の直接の原因は歯垢、つまりバイオフィルムです。歯と歯肉の境目には歯肉溝とよばれる浅い溝があり、そこにたまった歯垢中の細菌が歯周病の原因になります。
バイオフィルムには以下の特徴があります。
・細菌が塊を形成しバリアとなるため、薬剤や体内の免疫系が作用しにくい
・対象物にこびりついているので除去が困難(ブラッシングだけでんは完全に落としきれない)
・内部で作られた病原因子や毒素が局所に滞留して歯周病を誘発する
こんな特徴があるため、予防していくためには歯科医院でのケアがとっても重要となります。
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