「口の中の頬になんか白いできてものがあるんですが癌ではないですか」という患者様がお見えになりました。頬部分の白いところに痛みなどはありませんでした。「口腔扁平苔癬」であろうという診断になりました。

　口腔扁平苔癬とは口腔粘膜に生じる難治性の慢性炎症性疾患の1つで、角化性で炎症をともなう難治性の病変です。皮膚にもできることがあります。お口の中では頬粘膜に多く認めますが、舌や歯肉にも生じます。白い粘膜の角化(かっか)がレース状にみられ、周囲に発赤を伴うのが特徴です。時に、びらんや潰瘍を形成し、接触痛を認めたり、食物がしみたりします。癌化することはまれです。

　正確な原因は不明ですが、アレルギー、とくに歯科用金属によるものや遺伝的素因、自己免疫疾患、ストレスなどの精神的因子、さらに代謝障害などの関与が考えられています。

　治療は主にうがい薬や副腎皮質ステロイドや抗生物質を含む軟膏を使います。歯科用金属によるアレルギーが疑われる場合は、原因と思われる詰め物や冠をとる必要があります。お口の中の気になるできものはご相談下さい。

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