災害時のお口のケアは大事! ~誤嚥性肺炎や細菌によるかぜ、体調悪化になる~
2024/02/28
今年元旦に「令和6年能登半島地震」が発生して、改めて災害の恐ろしさを実感しました。災害時には避難した後に、歯みがきなど口の中を清潔に保つ口腔ケアは非常に重要な行為となります。災害時になぜ口腔ケアが重要になるのか、どう歯磨きなどケアをするのかについてです。
災害が発生し、避難所生活や断水で水が貴重になる状況においては、歯みがきなど口腔ケアをためらうことが多く、口の中が不潔になりがちです。口の中で細菌が繁殖し、それが気管から肺へ侵入することにより、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こします。災害時は平常時と違い免疫力が低下しやすい状態であり、特に高齢者の方では誤嚥性肺炎発症の危険性が高くなります。高齢者の誤嚥性肺炎は死亡率が高く、災害時は医療体制も混乱しているため、誤嚥性肺炎により死亡する危険がさらに高くなります。1995年の阪神淡路大震災では災害関連死の1/4が肺炎で、そのほとんどが誤嚥性肺炎であったと考えられています。2011年の東日本大震災でも、震災発生から1〜2週間後の死亡原因として、肺炎が最も多かったという報告があります。そのため、災害時であっても口腔ケアによる肺炎予防が非常に重要となります。
1.水で少し湿らせたティッシュペーパーを準備し、口角切れや口唇の亀裂を予防するために、口腔ケア開始時に軽く口唇を拭きます。
2.洗口2回分の水(約30mL)をコップ A(最後に洗口で使用)として準備します。
3.別のコップ B(歯ブラシすすぎ用)に約20mL の水を用意し、その水で歯ブラシを濡らしてから口の中へ入れ、歯みがきを開始します。(適宜「加湿」しながら磨くのがポイント)
4.歯ブラシが徐々に汚れてくるので、1 のティッシュペーパーで歯ブラシの汚れをできるだけ吸い取り、3 のコップ Bで歯ブラシをすすぎ、また歯みがき、これを小まめに繰り返します。
5.最後に、2 のコップ Aの水で2回洗口します(1回あたり15mL)。30mLを一気に含むのではなく、2回に分ける方がきれいになります。
※日本口腔ケア学会「水の使用を最小限にしたい場合の口腔ケア」を参照
歯ブラシがない時の口腔ケアの方法
避難所などで歯ブラシがない場合、食後に30mL程度の水やお茶でしっかり口の中をゆすぎ、ハンカチなどを指に巻いて歯ブラシ代わりに歯をぬぐうとよいでしょう。ハンカチの代わりにノンアルコールタイプのウェットティッシュを指に巻いて歯ブラシ代わりとするのもおすすめです。
唾液には、口の中の汚れを洗い出す働きがあります。水分をしっかりと摂取し、あごの付け根・耳の真下の部分(唾液を分泌する唾液腺がある)をマッサージしたり温めたりすることで、唾液の分泌を促すこともよいです。
★あわせて読んでいただきたい!